シーリング工事

シーリング工事

3.1 シーリング工事

(1)シーリング工事の留意事項

(ア)シーリング工事前

a)シーリング材及びプライマーの確認

シーリング材及びプライマーは、被着体によってそれぞれ適否があるため、施工に先立って、協会各社の純正品であるかを確認する。

b)有効期限などの確認

シーリング材及びプライマーには、それぞれ有効期限が定められており、その期間内で使用しなければならない。
また、シーリング材は有効期限内であっても保管状況が不適切な場合は、増粘していることが想定されるので、それらの使用は避ける。
また、一度開封したプライマーは、経時で成分変化が進行するため、一度の工事で使い切りとする。

c)シーリング工事部位(目地)の確認

施工に先立ち次のことを確認する。
シーリング目地幅は10mm程度(1時間準耐火構造とする場合は10mm以下)、目地深さは5mm以上確保する。
シーリング材の3面接着を防止し、伸縮追従性をよくするためのボンドブレーカー又はバックアップ材を正しく施工する。

(イ)シーリング工事時

a)気象条件

降雨、多湿などにより結露のおそれのある場合、外気温が5°C以下、又は50°C以上になるおそれのある場合の施工はさける。
やむを得ず作業を行う場合は現場管理者の指示に従い、仮囲い、シート覆いなどによる濡れ等の防止をはかり、シーリング材の保温又は断熱などの必要な措置を講じる。

b)被着面の清掃

被着面のゴミ、油分、水分は刷毛や布で除去し、拭き取っておく。

c)目地幅

横張りサイディングの縦目地は、幅10mm程度(1時間準耐火構造とする場合は10mm以下)、また、深さ5mm以上あることを確認する。
目地部には所定の目地ジョイナーを用いる。目地幅が狭かったり浅かったりすると、シーリング材の剥離の原因になる。
なお、バックアップ材を充てんする場合にも必ず深さ5mm以上の充てん深さを確保する。

d)マスキング(養生)テープ

マスキングテープは目地の両際に、凹凸面に沿ってしっかりと張る。
粘着性の強いテープを使用すると、サイディングの化粧面を剥離させたり、接着剤が残ったりすることがあるので、サイディング専用のマスキングテープを使用する。
また、張り付けてから長時間放置した場合も同様の不具合が発生することがあるので、張り付け後、1~2日以内でかつ、シーリング材が硬化する前にはがす。

e)プライマーの確実な塗布

協会各社の純正のプライマーを使用する。塗り残し、塗りムラ、塗り不足がないよう入念に塗布し、塗布後所定の乾燥時間を守る。プライマー塗布後、指定の時間内にシーリング材の充てんを終了する。(通常は30分以上6時間以内)。
時間が経過してしまった場合や、プライマー塗布後プライマー塗布面にほこり、ゴミ、雨水などが付着した場合は、乾燥、清掃後、必ずプライマーの再塗布を行う。

f)シーリング材の充てん

目地幅に合ったノズルで、気泡、打ち残し、すき間なく目地の隅々まで盛り上げるようにシーリング材を充てんする。
シーリング材を充てん後直ちに、目地幅に合ったヘラなどを使いシーリング材を押し込むように表面を平滑に仕上げる。
シーリング材が硬化するまでに、マスキングテープをはがす。
シーリング材を充てんする場合や平滑に仕上げる場合、サイディング表面にシーリング材が付着しないよう注意する。

(ウ)シーリング工事後
  1. シーリング材が完全に充てんされているか確認する。充てんが不十分な場合、漏水事故やシーリング材の剥離の原因となる。
  2. シーリング材の上に塗装を行う場合は、シーリング材指定の養生期間を守って塗装仕上げを行う。養生期間は、通常は2日以上10日以内が一般的である。なお、シーリング目地は、サイディングや建物の動きに合わせて伸縮するので、シーリング目地上の塗膜に割れや剥離が生じる場合がある。

(2)シーリング材に関する補足

(ア)プライマーの機能

プライマーの機能は次に示すとおりである。

  • シーリング材と被着体の接着性付与および向上
  • 多孔質系被着体の接着面の改良
  • 内部からの水・アルカリ成分などの滲出の防止
  • 被着体又はシーリング材からの可塑剤などの染み出し防止
(イ)3面接着の防止

シーリング材を充てんする目地にはいろいろな外力によりムーブメント(動き)が発生するので、3面接着を避け2面接着とする。
3面接着とはシーリング材が被着体の2つの接着面の他に目地底にも接着している状態をいう。
下図に示すように、目地の伸縮時に目地底のシーリング接着面に応力が集中し破断する危険がある。

窯業系サイディングの標準施工

シーリング工事の施工手順

(1)工事前の天候確認

シーリング工事は晴天の日に行う。前日が雨や雪の場合は、接着面が充分に乾燥している状態を確認の上工事を行う。

窯業系サイディングの標準施工

(2)接着面の清掃

接着面のゴミ、油分は刷毛や布等で除去する。

窯業系サイディングの標準施工

(3)バックアップ材又はボンドブレーカーの充てん

目地幅にあったバックアップ材又はボンドブレーカーを必要に応じて充てんする。

窯業系サイディングの標準施工

(4)マスキング(養生)テープ張り

目地の両側及び表面の凹凸に沿ってマスキングテープを張る。

窯業系サイディングの標準施工

(5)プライマー塗布

メーカー指定のプライマーを使用し、塗り残し、塗りムラ、塗り不足、テープからはみ出しがないよう入念に塗布し、塗布後所定の乾燥時間を守る。

窯業系サイディングの標準施工

(6)シーリング材の充てん

目地幅に合わせたノズルで気泡や打残しがないよう、すき間なく目地の隅々まで盛り上げるようにシーリング材を充てんする。

窯業系サイディングの標準施工

(7)ヘラ押え

ヘラなどを使いシーリング材を押し込むようにして表面を平滑にする。シーリングがテープからはみ出さないように注意する。

窯業系サイディングの標準施工

連合会の施工ポイント

ヘラの材質と押す力加減によって仕上がりに差が出てしまう部分です。
均等に仕上がるよう注意が必要です!
2023年4月10日 掲載

(8)マスキングテープのはがし

シーリング材が硬化しない間にマスキングテープをはがす。

窯業系サイディングの標準施工

(9)仕上がりのチェック

充てん作業終了後、目視にてシーリング材の打残し、表面の凹凸、気泡などの仕上り状態をチェックする。

窯業系サイディングの標準施工

3.2 タッチアップ仕上げ

補修塗装は環境や経年変化により補修部の色調に差異が出ることがあるので必要最小限とする。

(1)補修塗料の確認

サイディングの補修塗料(タッチアップ)は小さな「きず」などの軽微な小部分の補修を目的とする。補修塗料はサイディングの色、光沢と微妙に異なる場合があるので、次の事項に注意する。

  1. 補修塗料は有効期限内か確認し使用する。
  2. 補修塗料は十分にかきまぜ、試し塗りをし、色合いを確認する。
  3. 補修塗装は特に目立つ個所や、切断小口の見え掛かりの小面積にとどめる。

(2)くぎ頭のタッチアップ

化粧サイディングくぎ留めの場合、くぎ頭補修は特に目立つ箇所のみとし最小限にする。

  1. 補修方法や補修塗料は協会各社の仕様に従う。
  2. くぎ頭補修は小刷毛などでくぎ頭からはみでないようタッチアップする。
  3. シーリング材を補修塗料の代わりに使うと白化するので使用しない。

(3)鉄骨用ねじ頭の補修

  1. パテはアクリル系・ウレタン系・エポキシ系など協会各社が推奨するサイディングに適したものを使用する。
  2. パテ処理後、十分乾燥してからタッチアップをする。
  3. シーリング材を補修塗料の代わりに使うと白化するので使用しない。
    ※補修塗装は環境や経年変化により補修部の色調に差異が出ることがある。

(4)点検

補修完了後、仕上り状態を点検・確認する。

窯業系サイディングの標準施工

窯業系サイディングの標準施工

3.3 現場塗装

現場塗装用サイディングを使用して現場で塗装仕上げをする場合は、次の事項に注意する。

(1)塗装仕様の確認

現場塗装用サイディングに適合する塗料・塗材は協会各社が指定又は推奨しているものとする。
塗装工事に際しては、塗装面が充分乾燥していることを確認する。
また、気温が5°C以下の場合は避ける。(詳細は塗料メーカーに確認する。)

(2)塗装時期

塗装はサイディング施工完了後、適正な早い時期に行う。

3.4 清掃、廃材処理

施工現場では、工程ごとに整理・清掃し、安全で衛生的な作業環境を保つ。
施工で使用した材料の廃材は産業廃棄物であり、産業廃棄物処理法に基づいた適正処理をする。
産業廃棄物の処理は元請(施主と契約をした者)が排出事業者となる。
排出事業者は、収集運搬・処分業者と委託契約を結び、責任を持って産廃処理を行う。

上記掲載内容は一般社団法人日本窯業外装材協会(NYG)発行『窯業系サイディングと標準施工』第4版(P.54〜58)より引用
出典:一般社団法人日本窯業外装材協会

TOP