2.7 鉄骨造
サイディングの施工は鉄骨造においても、外壁通気構法を標準とする。
通気層の確保は、協会各社で通気可能な金具留め工法が準備されているので、詳細はそれらの仕様を参照のこと。
また、C形鋼に木胴縁を留め付けて、通気層を確保する方法もある。
但し、木胴縁を使用した場合は防・耐火認定上「木造下地の扱い」となり、ロ準耐2号などの不燃構造とはならない。
2.7.1 下地の確認
(1)基本事項
- サイディングは高さ13m以下の建物に使用する。
- 建物の層間変形角(=変位/高さ)は1/200以下で設計する(サイディングの品種・工法により1/120まで可能。協会各社の仕様に従う)。
- サイディングを直接柱や梁に留め付けることは避け、必ず下地を使用して、下地に通気留付金具によりサイディングを留め付ける。開口部まわりなどで、通気留付金具を使用できない箇所はねじ留めをする。ねじ留めはサイディング端部から30mm程度離して行う(端あき寸法は協会各社の仕様に従う)。
(2)下地間隔
下地の間隔は606mm以下を標準とする(一部に下地間隔500mm以下の品種もあるので詳細は協会各社の仕様に従う)。
(3)下地のサイズ・厚み
C形鋼や角パイプ下地の厚みは、1.6mm以上のものを使用する。ただし、構造耐力上鉛直荷重を負担する鋼材は2.3mm以上とする(3.2mm厚以上になるとねじの留め付けに手間がかかり、施工精度にも影響する)。
C形鋼は断面寸法75×45×15mm以上のものを使用する。
(4)接合部
縦継手部及び中間水切部の下地は、C形鋼下地を2列に入れるか、角パイプ下地を使用し、通気留付金具が確実に固定されるようにする。
横張り接合部(上下・左右)
縦張り接合部(上下)
縦張り接合部(左右)
(5)下地の精度
サイディングを施工する下地の精度は下記の通りとする。
(ア)下地の不陸
下地のジョイント、溶接のバリ・ねじ頭など2mm以内
(イ)下地の立ち
3mm以内かつH/1,000以内(H:階高)
(ウ)下地の曲がり
3mm以内かつL/1,500以内
(エ)下地のねじれ
1mm以内
(オ)下地の目通り
3mm以内
※下地の「立ち」や「曲がり」、「ねじれ」が基準内であることを確認する。基準を超える下地の「ねじれ」などは、サイディングの割れ、雨水の浸入などの原因となる。
2.7.2 土台水切の取り付け
- 建物の四周に水平基準墨を出し土台水切を取り付ける。
- 土台水切の取り付けは、防水紙の施工前に行い、土台横流し角パイプ下地などに固定する。
- 水切の継ぎ目は、重ねしろを30mm以上とし、土間など床が土台より低い場合は、その接合部にはシーリング材を充てんする。
2.7.3 防水テープ張り
防水紙を張る前に、サッシ枠などと防水紙を密着するため、開口部まわりや換気口まわりなどに両面粘着防水テープを張る。
2.7.4 防水紙張り
- 張り方は、横張りを原則とし、下から張り上げ、重なりは上下の重なり90mm以上、左右の重なりは150mm以上とする。(左右の重なり部は必ず、下地があるところに留める。)
- 下地への取り付けは、両面粘着防水テープや接着剤などで行う。
- 防水紙を張る位置は、下地の上側に張り、通気留付金具で押さえる施工を原則とする。
- 隅角部(入隅・出隅部)出隅部では通して張ることもあるが、つなぐ場合は、特にすき間、破れなどの防水上の欠陥を生じさせないように二重張りとし、150mm以上重ね、両面粘着防水テープで接合する。入隅部では両側の添え下地鉄骨の幅以上重ねて両面粘着防水テープで接合する。
- 土台水切部は、風による防水紙のバタツキ防止及び跳ね上がり防止のため、両面粘着防水テープを用いて防水紙を土台水切等にかぶせて張る。ロングスターター留付金具を用いる場合は、両面粘着防水テープは必要ない。
- 防水紙は、たるみのないように張る。万一、破れた場合は、その箇所から雨水などが入り込まないように、防水紙を重ね張りして補修するか、防水紙を張り直す。
2.7.5 サイディングの施工
(1)墨出し
- 下げ振りや水準器などで水平基準墨、垂直基準墨を出す。
- 下げ振りなどで垂直を確認して、通気留付金具用目地ジョイナーを取り付ける。
(2)サイディングの施工
(ア)通気留付金具
- 一般部用と土台部用が共通な通気金具、土台部専用のスターター金具や出隅専用の通気留付金具などがある。留付金具は協会各社の純正品を使用する。
- 通気留付金具は下地に直接留め付ける。
(イ)通気留付金具の固定
- 通気留付金具専用のねじで固定する。
- ねじの本数は、協会各社の仕様に従う。
(ウ)各部の納まり(横張り)
土台部
入隅部
出隅部
接合部
軒天井部
(エ)各部の納まり(縦張り)
土台部
入隅部
出隅部
接合部(上下)
接合部(左右)
軒天井部
上記掲載内容は一般社団法人日本窯業外装材協会(NYG)発行『窯業系サイディングと標準施工』第4版(P.48〜53)より引用
出典:一般社団法人日本窯業外装材協会