2.6 木造
2.6.1 下地・サッシの確認およびサイディングの割り付け
(1)下地の確認
- 構造躯体の「垂直・水平・通り」の確認を行う。
- サイディングが垂れ下がらないように、下地が堅固に取り付けられていることを確認する。
- 入隅部の胴縁を留め付ける受材などの補強下地が適切(図面の指示通り)に入っているか確認する。
- 躯体に、サイディングの反り、段差の原因となるボルトなどの突起物がないか確認する。
注)枠組壁工法は、パネル間の沈み込みにより帯金物が施工後に曲がってサイディングを押し出す場合があるので、建物の荷重が安定してから金物類を固定する必要がある。
(2)サッシの確認
- サッシは、サイディングの厚さ、胴縁の厚さを考慮し、サイディングの表面よりサッシ枠が出る外付けタイプ又は、半外付けタイプを使用する。サッシフィンのないサッシを使用する場合は、金属製額縁等を使用する。
- サッシ下枠の水切の出寸法は、サイディング表面より30mm程度出るものが望ましい。
- サッシ下枠の排水がサイディング表面を伝う場合は、水切皿板などを突き出すように取り付け、サッシからの排水がサイディング表面を伝わない構造とする。皿板端部にはストッパーを取り付ける。
※水切皿板はサッシ下枠よりも大きいものを使用する。。
- サッシ上枠フィン(ツバ)の立ち上がり寸法は25mm以上のものを使用する。
(3)サイディングの割り付け
サイディングの割り付けは、建物のモジュール、柱、間柱の位置、外観、使用する役物の働き幅などを考慮し、左右のバランスや材料ロスが少なくなるように目地位置を決める。
外壁材を美しく仕上げるには、図面上で事前に縦目地位置を割り出すことがポイント。
縦目地位置は必ず柱・間柱上とする。
縦目地に目地ジョイナーを入れるため、目地幅(10mm)を考慮して割り付ける。
※設計上の留意点
上下の割り付けで開口部、軒天井部などでサイディングが小幅物にならないよう、設計に留意する。
2.6.2 土台水切の取り付け
- 土台水切を水平に取り付ける。
- 一般的な板金水切の継目は、重ね代を30mm以上とする。
2.6.3 防水テープ張り
- サッシ下部に先張り防水シートが施工されていることを確認する(事前打合せ)。
- サッシを取り付けた後に両面粘着防水テープをサッシの両たて枠と上枠に張る。両面粘着防水テープは50mm幅以上を用いる。
- 両面粘着防水テープは、協会各社の純正品を使用する。
- テープを張る順序は、サッシのたて枠、上枠の順とする。たて枠の両面粘着防水テープの上端が上枠の上部を突き抜けないように張る。両面粘着防水テープはサッシ枠フィンと柱・間柱などにまたがるように張る。
- サッシ下部の防水紙は、先張り防水シートの下に差し込んで張る。
- サッシ横・上部は両面粘着防水テープの剥離紙を取り除きながら浮きやしわが生じないように防水紙を張り、専用ローラー、ヘラ等を用いてしっかりと押さえる。特に両面粘着防水テープの重ね部、くぎ打ち部、サッシ枠のフィン継目の防水シーラー段差部は、水みちになりやすいので強く押さえて施工する。
※先張り防水シートがない場合は、サッシの四周に両面粘着防水テープを張り、防水紙を施工する。
四周にテープを張る場合は、1下枠→2たて枠→3上枠の順に張ること。
下枠に張るテープの両端が、たて枠に張るテープを突き抜けないように張ること。
たて枠に張るテープの上端が、上枠に張るテープを突き抜けないように張ること。
2.6.4 防水紙張り
- 防水紙は、透湿防水シートを使用する。防水紙は、協会各社の純正品を使用する。
- 透湿し難いプラスチック系フィルムは、内部結露を起こしやすいので使用しない。
- 張り方は横張りを原則とし、下から上に張り上げ、上下の重なりは90mm以上とする。左右の重なりは、下地面材がない場合は、柱(間柱)と柱(間柱)の間隔(左右の重なり部は必ず柱・間柱があるところに留める)とし、下地面材がある場合は150mm以上とする(但し、下地面材の縦目地部は避ける)。
- 隅角部(入隅・出隅部)などは、すき間、破れなどの防水上の欠陥を生じさせないようにする。入隅部では下地面材の有無にかかわらず、通して張ると防水紙が直角に張れない場合や、土台水切や胴縁施工時に防水紙の破れのおそれがあり、左右で重ねる。下地面材がない場合は左右の重なりは、両隣の柱(間柱)があるところに留め、下地面材がある場合は、両方向柱幅程度重ねて留める。出隅部では下地面材の有無にかかわらず通して張ってもよい。出隅部では両方向とも柱幅程度重ねて留める。
- 土台水切、屋根の雨押さえ水切は、防水紙を水切の上にかぶせる(水切立ち上がり下端から15mm程度の位置まで)。
防水紙の最下端部が縦胴縁・スターター金具のみになる場合は、防水紙の押さえが柱・間柱部だけになるので、風によるバタツキ、及び防水紙の跳ね上がり防止のため、両面粘着防水テープを用いて防水紙を土台水切等にかぶせて張る。
ロングスターター留付金具あるいは横胴縁を用いる場合は、両面粘着防水テープは必要ない。 - 防水紙はたるみのないように張る。万一、破れた場合は、その箇所から雨水などが入り込まないように防水テープや防水紙を重ね張りして補修するか、防水紙を張り直す。
2.6.5 胴縁の取り付け
- 胴縁の標準寸法及び間隔は、以下のとおりとする。
- 厚さ:18mm以上但し、縦胴縁で、必要なくぎ保持力が確保できる材質(べいつがなど)の場合は、15mm以上とすることができる。また、耐力面材などの断熱材のせり出し防止措置があり、かつ胴縁のくぎ保持力に下地のくぎ保持力が合算できる場合は、15mm以上とすることができる。胴縁のくぎ保持力は、胴縁の樹種や比重の影響を受ける。一般に用いられるすぎやべいつが以外の樹種(合板を含む)については、あらかじめくぎ保持力を確認するのが望ましい。事前の確認が難しい場合は、日本建築学会「木質構造設計規準・同解説」(接合部の設計における樹種グループと基準比重の関係)などを参考にされたい。
- 幅:一般部45mm程度サイディング接合部90mm以上接合部で胴縁を2列使いとするときは、段差を生じないように注意する。
- 必要により受材を設置する。
- 間隔:縦胴縁は柱・間柱間隔とし、横胴縁は500mm以下とする。
*胴縁寸法は呼び寸法とする。
- 胴縁は、長さ65mm以上のステンレスくぎ及び鉄丸くぎ、長さ50mm以上の太め鉄丸くぎ、又は必要保持力のあるくぎを500mm以内の間隔で柱・間柱に留め付ける。
*くぎ打ちの際、胴縁端部が割れる場合は、先孔をあけるなど割れ防止に配慮する。
*くぎ保持力のない下地面材を使用する場合は、必要長さのくぎで胴縁を留付ける。 - 縦張りサイディング用下地の横胴縁は、2000mm以下の間隔で30mm以上のすき間をあけ、壁体内の通気を図る。
- 開口部周囲、入隅・出隅部には胴縁を入れ、役物、サイディングの留め付けが確実に行われるようにする。
- 胴縁の留め付けは、不陸、突出物がないよう仕上げる。不陸は1mあたり目通り2mm以下とする。
- 枠組壁工法では特に次の点に注意する。
- 耐力面材の帯金物と縦胴縁が同一場所で重なる場合は、金物を避けて胴縁をねじで留め付ける。このとき、他の胴縁との不陸が生じないように厚み調整をする。
- 金物に横胴縁が重なる場合は、横胴縁の裏側を欠き取るか、部分的に薄い胴縁を使い、調整材を入れて不陸を2mm以下に調整する。
- 縦胴縁で、1時間準耐火構造とする場合は、胴縁の間に高さ3m以内毎に通気役物(熱気止め)を設けなければならない。
2.6.6 サイディングの施工
(1)水平墨出し
水平墨出しを行い、張り始めのサイディングの位置決めをする。
(2)サイディングの加工
- サイディングの割り付けを再度確認し、建物のモジュール、柱、間柱の位置、外観、使用する板幅役物の働き幅を考慮し、左右のバランスや材料ロスが少なくなるように目地位置を決める。
- 材料の加工は、清掃した平らな台上で行う。材料は適切な工具と定規を用いて正確な寸法に切断する。
加工及び取り扱いに際して材料に損傷を与えないように注意する。切断作業には、工具連動集塵機など適切な防塵対策を行う。 - 開口部でサイディングを切り欠く場合は、破損しないように十分注意して施工する。
- 切り欠き部の残りの板幅が100mm未満になる場合、コの字切り欠きで板幅の1/2以上を切り欠く場合はあらかじめ切断し、ドリルで先孔をあけて留め付ける。切断して張る箇所には、必ず胴縁を入れてシーリング目地を設ける。
※切り欠き幅が大きすぎたり切り込みすぎると、施工中の破損、施工後のひび割れ発生などの危険が増す。 - 切り欠き部は丸ノコで一気に切断せず、数mm手前で止め、手ノコで仕上げる。
- 土台部、下屋根部などのシーリング材を打たない現場切断小口には、吸水防止のため必ず協会各社の仕様に従い、小口防水用シーラーなどを塗布する(ひさし・下屋根部、バルコニー部、オーバーハング部など)。
2.6.7 横張りサイディングの金具留め
(1)胴縁を要する金具留め
金具留め工法のサイディングの厚さは15mm以上とする。また、留付金具は協会各社の純正品を使用する。
(ア)留め付け
a)留付金具
留付金具には、一般部用と土台部用が共通な場合と、土台部専用のスターター留付金具や長尺のロングスターター留付金具、出隅部専用の金具などがある。
b)留付金具の固定
留付金具は、専用のくぎ又はねじで固定する。
くぎ又はねじの本数は、協会各社の仕様に従う。
留付金具は、胴縁に留め付ける。
c)サイディングの留め付け
サイディングを専用の留付金具に差込み、順次留付金具で固定する。留付金具は、500mm以下の間隔で胴縁に留め付ける。軒天井部、開口上下部などで合いじゃくり部分が切断され、留付金具が使用できない場合、留め付け位置にスペーサーを入れて不陸調整を行い、指定のくぎ又はねじで胴縁に留め付ける。スペーサーは専用のものか、所定の厚さ、材質のものを使用する。
(イ)土台部
- 土台部の留付金具(スターター留付金具など)は、張り出しの基準となるため水平に留め付けるよう注意する。
- 最下段の留付金具は、所定のものを専用のくぎ又はねじで留め付ける。サイディングの下端は10~15mmのすき間をあけて施工する。土台水切とサイディングの下端のすき間はシーリング材などでふさがない。
- 通気層の入り口部は、必要があれば防虫ネットを使用する。
※最下段の留意点
特に高基礎やバルコニーの手摺壁など高い部分から張り始める場合は、必要に応じてくぎ併用などの補強措置を講じる(補強措置は協会各社の基準、仕様に従う)。
(ウ)接合部
- 横張りの場合、左右の接合部には専用の金具留め工法用目地ジョイナーを使用し、幅10mm程度(1時間準耐火構造とする場合は10mm以下)のシーリング目地を設ける。
- 目地ジョイナーはあらかじめ留め付けるか、目地ジョイナーのツバをサイディングの裏面に差込み、もう片方のツバをくぎで1m程度の間隔で留め付ける。
- 短辺方向にも合いじゃくりがある製品は、協会各社の仕様に従う。
(エ)出隅部
出隅役物及びサイディングを役物仕様に従って留め付ける。同質役物は協会各社の純正品を使用する。
- 同質出隅は留付金具か専用の出隅留付金具で留め付ける。
- 左右の接合部には専用の金具留め工法用目地ジョイナーを使用し、10mm程度(1時間準耐火構造とする場合は10mm以下)のシーリング目地を設ける。
(オ)入隅部
- 柱に受材を取り付け、縦胴縁を留め付けた後で、捨て入隅を上下各一箇所以上くぎで留め付ける。
- 接合部には専用の金具留工法用片ハットジョイナーなどのバックアップ材を取り付け、シーリング材を充てんする。片ハットジョイナーは、くぎなどで1m程度の間隔で留め付ける。10mm程度(1時間準耐火構造とする場合は、鋼板製の片ハットジョイナーを用いて目地幅は10mm以下)の目地幅を確保し、サイディングを確実に留め付ける。
(カ)開口部
- サッシまわりは、10mm程度のすき間をあけて施工し、シーリング工事を行う。シーリング工事においてサッシ上部に雨水などを排出させるための排水路を設ける場合は、下図のように設置する。
- 開口部上下部などでは合いじゃくり部分が切断され、留付金具が使用できないため、留め付け位置にスペーサーを入れて不陸調整を行い、指定のくぎ又はねじで胴縁に留め付ける。
- スペーサーは金具留め工法専用のものか、所定の厚さ、材質のものを使用する。
- 開口部の左右は留付金具で固定する。
- 開口部左右のシーリング目地部は、サイディングの水平方向のズレ防止のため片ハットジョイナーを用いる。
かつては、排水路を設置することが一般的でしたが、現在では逆に設置しないケースが増えています。排水路を設置する場合は、シーリングの打ち忘れと勘違いされることがないように、情報共有が必要です。また、景観を重視する場合も、排水路を設置しないことが多いため、図面や仕様書の確認が非常に重要です。これらの点に注意して、建築物を設計・施工することが求められます。
2023年5月11日 追記
縦断面
横断面
*詳細は協会各社に問い合わせる。
(2)胴縁を要さない金具留め
(ア)留め付け
a)留付金具
胴縁を要さない金具留め工法に使用する金具(以下、通気留付金具という)には、一般部用と土台部用が共通な留付金具、土台部専用のスターター留付金具やロングスターター留付金具、出隅部専用の金具などがある。留付金具は協会各社の純正品を使用する。
b)通気留付金具の固定
通気留付金具は、専用のくぎ又はねじで固定する。くぎ又はねじの本数は、協会各社の仕様に従う。留付金具は、柱・間柱に留め付ける。下地面材のある場合は、面材を介して柱・間柱に留め付ける。
c)サイディングの留め付け
サイディングを留付金具に差込み、順次通気留付金具で固定する。
留付金具は、500mm以下の間隔で柱・間柱に留め付ける。軒天井部、開口上下部などで合いじゃくり部分が切断され、留付金具が使用できない場合は、留め付け位置にスペーサーを入れて不陸調整を行い、専用のくぎ又はねじで柱・間柱に留め付ける。スペーサーは専用のものか、所定の厚さ、材質のものを使用する。
※短辺方向にも合いじゃくりがある製品は、協会各社の仕様に従う。
(イ)各部の納まり
土台部
接合部
出隅部
入隅部
開口部
2.6.8 縦張りサイディングの金具留め
(1)胴縁を要する金具留め
(ア)留め付け
a)留付金具
留付金具には、一般部用と土台部用が共通な場合と、土台部専用のスターター留付金具や長尺のロングスターター留付金具、出隅部専用の金具などがある。
b)留付金具の固定
留付金具は、専用のくぎ又はねじで固定する。
くぎ又はねじの本数は、協会各社の仕様に従う。留付金具は、胴縁に留め付ける。
c)サイディングの留め付け
サイディングには、専用の留付金具を使用する。
留付金具は、500mm以下の間隔で胴縁に留め付ける。
(イ)土台部
- 土台部の留付金具(スターター留付金具など)は、張り出しの基準となるため水平に留め付けるよう注意する。
- 最下段の留付金具は、所定のものを専用のくぎ又はねじで留め付ける。
サイディングの下端は10~15mmのすき間をあけて施工する。
土台水切とサイディング下端のすき間はシーリング材などでふさがない。 - 通気層の入り口部は、必要があれば防虫ネットを使用する。
(ウ)横目地接合部
縦張りの上下接合部は、中間水切を使用し10mmのすき間をあけてサイディングを施工する。接合部の胴縁は横張りと同様に幅90mm以上を確保し、2列使いするときは段差にならないよう注意する。スターター留付金具のすぐ上に留付金具を入れ、専用のくぎ又はねじで固定する。
(エ)出隅部
出隅役物及びサイディングを役物仕様に従って留め付ける。同質役物は協会各社の純正品を使用する。
- サイディングは所定の厚さのスペーサーを入れ、先孔をあけてから専用のくぎで留め付ける。
- 左右の接合部には専用の金具留め工法用目地ジョイナーを使用し、10mm程度(1時間準耐火構造とする場合は10mm以下)のシーリング目地を設ける。
(オ)入隅部
- 柱に受材を取り付け、胴縁を留め付けた後で、捨て入隅を上下各一箇所以上くぎで留め付ける。
- サイディングは所定の厚さのスペーサーを入れ、先孔をあけてから専用のくぎで留め付ける。
- 接合部には専用の片ハットジョイナー等のバッ横胴縁クアップ材を取り付け、シーリング材を充てんする。片ハットジョイナーは、くぎなどで1m程度の間隔で留め付ける。10mm程度(1時間準耐火構造とする場合は、鋼板製の片ハットジョイナーを用いて目地幅は10mm以下)の目地幅を設け、サイディングを確実に留め付ける。
(2)胴縁を要さない金具留め
(ア)留め付け
a)留付金具
通気留付金具には、一般部用と土台部専用のスターター金具やロングスターター金具などがある。通気留付金具は協会各社の純正品を利用する。
b)通気留付金具の固定
通気留付金具は、専用のくぎ又はねじで固定する。くぎ又はねじの本数は、協会各社の仕様に従う。通気留付金具は、柱・間柱に留め付ける。下地面材のある場合は、面材を介して柱・間柱に留め付ける。
c)サイディングの留め付け
サイディングを順次、通気留付金具で固定する。通気留付金具は、500mm以下の間隔で柱・間柱に留め付ける。
(イ)各部の納まり(縦張り)
土台部
入隅部
出隅部
接合部(上下)
接合部(左右)
軒天井部
2.6.9 サイディングのくぎ留め
(1)留め付け
サイディングをくぎで留め付ける場合は、専用のくぎを用いて、幅455mmに対して両端部及び中央部の3本で留め付けることを標準とし、かつ原則としてサイディングの合いじゃくり部を除いた厚い部分より20~35mmの位置に留め付ける。また、下地材の位置によりくぎの端あき寸法が35mmを超える場合、できるだけ大きくならないようにする。なお、くぎ打ち機を使用する場合は、多少くぎ頭が残る程度に圧力を調整し、締め付けはかなづちで打ち込む。
(2)土台部
サイディングの下端は、通気層の空気取り入れ、毛細管現象の防止、雨水の排出及び躯体の変形吸収のため、10~15mmのすき間をあけて施工する。土台水切とサイディングの下端のすき間はシーリング材などでふさがない。通気層の入り口部は、必要があれば防虫ネットを使用する。
(3)接合部
横張りの左右接合部の胴縁は幅90mm以上を確保し、くぎの端あきが20~35mm確保できるようにする。目地ジョイナーで10mm程度(1時間準耐火構造とする場合は10mm以下)の目地を設け、シーリング材を充てんする。
縦張りの上下接合部は、中間水切を使用し10mmのすき間をあけてサイディングを施工する。接合部の胴縁は横張りと同様に幅90mm以上を確保し、胴縁を2列使いするときは段差にならないよう注意する。
(4)出隅部
出隅部の下地には、縦胴縁を使用する。
目地ジョイナー、出隅役物及びサイディングを施工仕様によって留め付け、シーリング材のみの施工は避ける。
短尺の同質出隅は、各面くぎ2本以上で留め付ける。
(5)入隅部
柱に受材を取り付け、防水紙を張り付けた後、縦胴縁を留め付ける。
捨て入隅、鋼板製片ハットジョイナー及びサイディングを施工仕様によって留め付ける。
2.6.10 その他の部位
(1)換気口部
片面粘着防水テープ換気口の接続パイプは必要な水勾配を取り、通気層内の防水紙との接合及びサイディングとの接合を完全に行う。
また、ベントキャップは接続パイプの排水を考慮した外挿型のものが望ましい。
内挿型は接続パイプとベントキャップのさや管のシールが不完全だと壁体内に排気が漏れ、壁体内結露を起こしやすいので注意が必要である。
なお、ベントキャップは、接続パイプからの排水がサイディング表面を伝って流れない水切り性能を有する構造とする。
(2)軒天井部
軒天井との取り合い部は、軒天井との間にシーリング材を施すか、又は見切り縁を取り付け、サイディングを見切縁に差し込んで施工する。また、防水紙は敷桁の高さまで立ち上げることが望ましい。
(3)ひさし・下屋根との取り合い部
ひさし・下屋根との取り合い部は、10~15mmのすき間を空ける。
(4)壁当たり軒先部
下屋根軒先部は、雨水が壁に伝わらないよう雨押さえ水切を立ち上げ、袋加工にするか、又は軒先に壁止まり役物を取り付ける。
壁当たり軒先部は屋根と外壁の接点であるので、施工前に十分打ち合わせの上、必ず屋根施工時に端部処理を行う。
出典:住宅保証機構株式会社「まもりすまい保険設計施工基準・同解説」
(5)バルコニー
オーバーハング部に水切を使用する場合は、下図に示す外壁側サイディングを施工後にオーバーハング水切を外壁側サイディングに当たるように取り付る。
バルコニーのオーバーハング側のサイディングは10~15mm(1時間準耐火構造とする場合は10mm以下)のすき間をあけてを施工する。
壁取り合い部は端から50mm程度シーリング材を水切の奥まで充てんする。
バルコニー・ベランダなどの壁当たりの入隅となる接合部にシーリング材を充てんする。
サイディングとバルコニー・ベランダとの取り合い部は、防水紙、防水テープ、捨て入隅などで十分な雨仕舞いをする。
施工手順
現場では、③片面粘着防水テープを使用しないことが多く見られます。確かに多くの防水テープを貼ることで、防水能力は高まると思われますが、④片面粘着防水テープをしっかりと貼ることで、③のテープを貼る重要性は低くなると考えられます。多くの防水テープを貼ってしまうと、どの箇所の防水が重要なのか分かりにくくなってしまうため、ポイントを絞った施工が重要だと思われます。また、防水テープには費用がかかるため、効果的かつ効率的な施工が必要であることを理解していただきたいと思います。
2023年5月11日 追記
バルコニー・ベランダなどの笠木を水平又は外側に勾配を取ると、サイディング表面に雨水が多量に流れ、汚れやすくなる。笠木を取り付ける場合は、バルコニー・ベランダの内側に勾配を取るか、笠木を大きめに張り出す。
笠木の下は防水紙をオーバーラップさせ、笠木ファスナー取り付け部は防水テープを捨て張りするとともに、通気にも配慮する。
なお、すみやかに笠木を取り付けできない場合は、ビニールシートなどの防水上有効な養生をする。
天板などで通気層をふさがないように注意する。
(6)軒ゼロ・けらばゼロ納まり
軒ゼロ納まり例
けらばゼロ納まり例
建設現場において、通気部材と釘の処理が近接している場合、上記図の施工方法では詳細が分かりにくくなることがあります。そのため、通気部材メーカーから提供された参考画像を掲載させていただきます。建築現場においては、このような細部に至る注意が欠かせません。常に安全性や品質に配慮し、適切な施工を行うことが求められます。
2023年5月11日 追記
(7)破風板・鼻隠しの取り付け
破風板・鼻隠しは小幅で折れやすいので、ドリルで先孔をあけてからくぎ打ちする。
くぎ打ちは幅方向2本留め(くぎを千鳥打ちにして保持力がある場合はこの限りではない)とし、協会各社の仕様に従い留め付ける。
(8)幕板の取り付け
幕板は小幅で折れやすいので、くぎ又は留付金具等で協会各社の仕様に従い留め付ける。
ただし、くぎ留めの場合はドリルで先孔をあけてからくぎ打ちをする。
また、幕板とサイディングの間に水が入らないよう、幕板最上部にシーリング材を充てんするか水切をかぶせる。
(9)付属設備の取り付け
樋支持金物等の取り付けは、胴縁など下地のある場所に先孔をあけて金物を打ち込む。
サイディングの目地(ジョイント部)及びシーリング目地部、サイディングの目地を避ける。
樋支持金物を打ち込んだサイディング周囲はシーリング材を充てんして雨仕舞いを行う。
配管工事は支持材を使用し、サイディングに直接密着させて施工しない。
支持材はサイディングの目地を避けた位置に先孔をあけて取り付け、取り付け部周囲はシーリング材を充てんする。
電気、電話線をサイディングに貫通させる場合もシーリング材を充てんする。
設備機器などは、補強材をあらかじめ施工し、その補強材に取り付ける。
上記掲載内容は一般社団法人日本窯業外装材協会(NYG)発行『窯業系サイディングと標準施工』第4版(P.21〜47)より引用
出典:一般社団法人日本窯業外装材協会